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まんざらでもない生活日誌略して「まんせい」

本、漫画、映画、音楽が好きなサブカルになりきれない者の戯言です

不倫ドラマの今とちょっと昔

子供のころからテレビドラマはよく観ていた自分ですが、

今期のドラマはほとんど観ていませんでした。


そんな自分がなぜか毎週録画しているドラマは

『せいせいするほど、愛してる』(笑)です。

何回言っても書いてもこのタイトルの笑いを禁じ得ない

秀逸さよ!(褒め言葉)


観てない方のためにざっくり内容を説明しますと、


ティファニーの広報部に勤務する武井咲(役名は「栗原未亜」)が

コネで副社長に就任したタッキー(役名は「三好海里」)

と恋に落ちる物語。


めんどくさいのでここからは役名ではなくタレント名で説明しますね。


実はタッキーには事故で意識不明になってしまったままの妻がいるのですが、

その妻が目を覚ましたからさあ大変。

妻とは本当は事故直前に離婚することになっていたのですが

妻は事故の衝撃でそれを忘れている。

粘着質っぽい妻の追及を受け、別れる決心をしてもそこはほれ、

なかなか若者の情熱というものは

冷めないものでございまして、

「もう別れる!」と「やっぱりスキ!」を繰り返しては

グズグズしているのですが

その間にジミーチュウの社員、中村蒼(役名は「宮沢綾」)に

武井咲が言い寄られたりでなかなか美味しい思いをしたりしています。



まあ、ベタ中のベタなドラマではありますよね。

昔、くりぃむしちゅーの番組で「ベタドラマ再現」みたいなコーナーがあり、

<待ち合わせに恋人が現れずレストランで閉店時間まで待ちぼうけ>

みたいなベタな展開、さあこのあとどうなる?!という

その後のストーリーを予想するドラマがあったものですが

その再現ドラマかよというくらいベタです。


実際、待ちぼうけシーンも今週見事にありました。

待ちぼうけさせられたのはジミーチュウですが・・

中村蒼の役のことはジミーチュウと呼ばせていただきます)


武井咲にプロポーズするためにティファニーでプレゼントを買い

(あんまり画面を見てなかったけどたぶん婚約指輪なのでしょう)

お高いレストランで彼女を閉店時間まで待っていたジミーチュウ。


一方、武井咲は不倫で窮地に追い詰められたタッキーのために

奔走していてジミーチュウとの約束など完全に忘れていたのでした。

不憫・・・。


まあ、とはいえどうせ最後は妻とも離婚して武井咲とタッキーは結ばれ

めでたしめでたしなんだろうし、

特に自分もストーリーの今後が気になって観ているわけではありません。

そもそも第一話が始まったときには録画してあったものを観て

5分でウンザリして録画を消してしまったものです。

それなのに結局なんでこのドラマを観ているかというと

そのツッコミどころの多さゆえ、でしょう。


このドラマにはほぼ毎週、ある2つのシーンが挟み込まれます。

それがどんなシーンかというと

タッキーがエアギターで豪華な自宅マンションの中で暴れまわる

シーンと

武井咲がひとりカラオケをするシーン、しかもやや懐かしい選曲

山口百恵パフィーなど)(しかもあんまり上手くない)

のシーンです。

気になった方は某動画サイトなどをググってみてください。


このシーン、きっと毎回のように流すはずではなかったとは思うのですが

きっとSNSで

『エアギターwwwウケるwww』

などという書き込みが多く上がったため、

制作者側が味をしめたんだろうなあと思います。


このドラマを観ている人の多くが今週はいつエアギターが来るのか、

そして今週の選曲はなんなのか・・・と

胸をワクつかせてるのではないでしょうか。


残念ながら今週の放送ではどちらも放送されず、

流し見していた自分も「あれ?あのシーン今週はいつやった?」と

思わず巻き戻して見てしまったのでした。


NAVERまとめでもさっそく

<エアギター不発で、待ちきれない人続出>などというタイトルで

上がってましたし。


次回予告では今週はそのシーンがなかった償いのためなのか、

タッキーと武井咲が二人でエアギターを弾く?シーンが。

もうこのドラマの主題とはなんだったのか。


エアギターはタッキー演じる副社長が日ごろのストレスを晴らすために

やっているようですが、お金はあるんだろうし、

エアギターじゃなくてスタジオでも借りて

本物弾いたらいいのに。

もしや、実は本物のギターは演奏できなかったりするのなら

ちょっとダサい。


さて、そういったシーン以外にも

取ってつけたようなお約束シーンが。


妻が武井咲に向かって言うセリフ『この泥棒猫!』

また、来週は『メス豚!』などというセリフも飛び出すようです。


なかなか現実には、彼氏を取られようとも夫を取られようとも

このセリフを口にするのは勇気がいることだと思います。

でもこういうドラマだとさらっとそのセリフが出てきます。

『よっ!待ってました!』

と江戸っ子じゃなくても言いたい気分。


とまあ、一応ドロドロ不倫ドラマ展開をしてはいるものの、

妙にそのテイストは軽い。

武井咲ルームシェアしているトリンドル玲奈

もう一人の友達(なんていう役者さんか分からず)も

一人の男(作家)を巡って女同士の争いを繰り広げてはいますが、

まあなんだか説得力がない。


あと、その奪い合っている作家の書く本が

『トールラテの恋人』とかいうタイトルだったりして

世界一ダサい。


しかも作家のルックスも特によくない。

なんでこんな男を奪い合っているのだ?


舞台だけはドロドロしているけど、

演技の問題なのか、脚本の問題なのか(それは大いにあるけど)

役者たちがそろいもそろって今風の容貌のせいなのか、

なんだか空回っている感じ。


タッキーというアイドル中のアイドルみたいな存在の人が

オフィスにいる、という絵面がすでにリアリティがない。

なんならティファニーの社長役の松平健武井咲が不倫、

みたいな方が萌えたかも。


そもそも、ティファニーくらい有名な会社の副社長とは

あんなに一般社員と同じオフィスをうろうろしているものなんでしょうか。


大企業と言われるとこでアルバイトのように働いてたことがありますが、

ちょっとした役職の人だって仕事は会議に出るのがほとんどで、

現場の仕事に携わってはいませんでしたが・・


ひとつ言えるのはティファニーとジミーチュウ、どちらとも

このドラマにかかわったことで全然得してなさそうなことでしょうか。

きっと両社の広報部員たちも頭を抱えていることかと思います。



ところで現在、自分が住んでいる地域ではTBS系で

2001年ごろに放送されていた『昔の男』

というドラマが再放送されています。


脚本は内館牧子

えげつないけど妙に説得力のある物語を書く人です。


自分が子供のころ見てたドラマを思い返してみても

『想い出にかわるまで』『あしたがあるから』

『クリスマスイブ』など、

不倫や恋愛の上での略奪などありふれたテーマを描きつつも

どこかつきささるセリフやシーンがあったり、

結末に愕然とさせられたこともあり、好きな作家のひとりです。


自分がたしか思春期のころに放送された

『都合のいい女』なんかは

第一話ののっけから浅野ゆう子演じる主人公が風間杜夫演じるタクシー運転手と

公衆トイレでセックスするなど、

内館牧子以外ならまあ書かないだろうな・・・

と今でもその刺激的な光景を思い出します。


ここ数年のドラマを思い出しても

これくらい<体当たり演技!>みたいなのって少ない。


せいぜい、清純派と言われる女優が少しディープに見えるキスシーンを演じたり、

デコルテから上を出してベッドシーン演じたりするくらい。


デビュー当時の中山美穂が素っ裸になったりとか子供心に衝撃だったけどな。

駆け出しのときの常盤貴子が風俗嬢になる場面で胸をあらわにしたのも

おおう!と思った。


最近は誰の苦情にビビっているのか、はたまたスポンサーがうるさいのか、

過激と言われるシーンも少なくなって、学芸会のようなドラマばかりが

増えてしまったものです。

そりゃつまんなくなったって言われるわけだ。



さて、今再放送されている『昔の男』も

毎週毎週繰り返される『よっ!待ってました!』的ベタ展開に

当時結婚したばかりだった夫と一緒に盛り上がったものでした。


物語は藤原紀香演じる自称・ルックスがいいという長所だけで

今まで生きてきた主人公・あかりと

(そう自称するモノローグが冒頭にあるのですが

それだけで女には嫌われるタイプなんだろうなあ、

というのが分かって秀逸です)


その「昔の男」、大沢たかお演じる嵐が

再会して焼けぼっくいに火が付く話。


大沢たかおの妻役が富田靖子なんだけど、

「本妻が富田靖子」というワードだけでなんだかザワザワしますよね。


このドラマでは「昔の男」「昔の女」という言葉がやたらと乱用されます。

2016年現在なら「元カレ」「元カノ」といった言葉になるかもしれませんが、

2001年だからその言葉がなかったわけではありません。

あえて「昔の男」という言葉で品のない感じ、

生生しい感じを演出しているのでしょう。

そして当時まだ30代前半だった藤原紀香がその言葉を口にするときの

ヤラしさったらない。


紀香、30代そこそこでもうすごい熟れっぷりです。

自分は

藤原紀香って代表作も特にないけど

なんでいつも大女優然としているのか・・・」と

疑問を常に抱いてはいますが、

この「昔の男」こそがもしかして代表作といえるかも。


現在の彼である阿部寛に対して

『結局わたしの身体が目当てなのね!』

と言っても、

「まあそうだろうね」と、こちらも思うしかない。


「昔の男」である大沢たかおもまあそりゃあ夢中になるだろうて。


富田靖子演じる「嵐」の妻は

手芸と料理が得意で、妻として生きることに

大いなる生きがいを感じているタイプなのですが、

いかんせんウザい。

どこが悪いのかと言われたら、ただウザい。それだけなんでしょう。

ツラい。


この「ウザい」というやつはほんと曲者で、

一生懸命やればやるほど本来は加点されなければならないのに

その対象を間違えるとただただウザい人になってしまう。

悲しいものです。


夫のためにやることがただただ裏目に出る。


夫の職場に差し入れを持っていく。

夫の実家でかいがいしく働き、かわいい嫁を演じる。


本人はよかれと思って行動することが全部

「うっとおしい」という感情の前では減点です。

そしてだんだんと妻は狂っていく。


『昔の男』の中での藤原紀香演じるあかりは

妻にも、彼氏である阿部寛に思いを寄せる同僚女子にも、

さらには妻に思いを寄せる大沢たかおの部下にも

妬まれ、悪者にされて

泥棒猫だの淫乱だの、男をたぶらかす女だの言われて

さんざんな目に遭います。


なっかなか実際の不倫現場でも

そうそうこんなドロドロの修羅場を迎えることはなさそうな気はしますが、

藤原紀香がエロいボディでもっさい恰好をして

みんなに口々に責められたりするのに妙に説得力がある。

「業の深さ」がにじみ出ている感じ。


自分は特に不倫と言うことに賛成も反対もないし、

日常にありふれていることで、

そのことに対して第三者がどうのこうの言うことではないと思ってます。

それが、綺麗も汚いもないし、人間とは結婚しているからといって

そうそう真面目に配偶者のことだけを想って生きれるものではないと思います。


けれども、一般社会では「結婚してるからって恋しタイ!」という

恋愛至上主義はまだまださすがに受け入れられていない。


婚姻届が受理されている限り、妻は夫のもの、夫は妻のもの。

そこに割り込んでくる人の方が基本的には「悪」とされます。



『昔の男』にくらべて圧倒的に『せいせいするほど、愛してる』が

薄っぺらいものに感じる理由はそこらへんにあるのではないでしょうか。


『昔の男』はたぶん、真っ向から不倫の「汚さ」を描いています。

いくら愛だの恋だのといっても、

所詮は夫を妻から奪うというのは

一般的には褒められたことではありません。


対して、『せいせいするほど、愛してる』は

たぶん「不倫だけど、純愛」というテーマを描こうとしているのでしょう。

それにしては何かが足りない。


障害(=妻)がある恋だけど、それを貫きたい、

それだけではなあ。

障害があるからこそ燃える、

けれどそれがなくなったら冷めてしまうことだってよくある。


自分に特に好きな相手がいなくて、

そんなときたまたま自分好みの人が目の前にいれば

人間なんて簡単に「恋している」と錯覚できる生き物だと思っています。


『昔の男』では繰り返し、「あかり」と「嵐」のベッドシーンが

出てきますが、別れようと思ってもどうしてもしてしまう、

というところに

「ああこの二人は身体の相性だとか肉欲で

お互いをすごく欲してるんだろうなあ」

と妙に納得してしまいます。


大人だから、やっぱりそこは無視できない要素ですよね。

愛だの恋だの言っても結局はそこに集約されるんじゃい!と。


やっぱ妻とするより楽しいからどうしても会いに行ってしまうんだろうなあ、

というのが伝わってくる。


『せいせい~』では

「そんな肉欲とかじゃなくて精神的なつながりをだな!」

ということを描きたいのかもしれませんが、

それにしては描き方が表面的すぎるので

感情移入しにくい。


エアギターのシーンもひとりカラオケのシーンも楽しくはありますが、

それはSNSをやっている人どうしで

「なにこれww」

と盛り上がるのが楽しいのであって、

ストーリーで楽しんでいるわけではありませんし。


そういう飛び道具的シーンに頼らず、

どうかストーリーでこちらを引き付けてほしい。

と、思うけど、もう物語は終盤を迎えてるしムリかな。


カムバック!内館牧子的ドロドロ不倫ドラマ!

と切に願うのでした。